2007.06.23 ううん <<00:59
また間が空いちゃった…。
梅雨入りした途端雨が止んで真夏になって、ここ二日程またぼちぼち降ってます。沖縄はもう梅雨明けしたんでしたっけ? むちゃくちゃだなあ。今年は猛暑なんだそうですね。今年の夏にはまとめて遊ぶ計画もあるので、暑さだけは勘弁して欲しかったのだけど…。
本。蒼井上鷹がいい感じです。昨日今日で『二枚舌は極楽へ行く』と『ハンプティ・ダンプティは塀の中』を読了。うん、やはりこの人は連作短編が一番向いてると思う。キャラ立ちの良さとプロットの(ちょっと毒のある)ひねりが持ち味で、テンポ良く読ませる作家です。電車の中とか、寝る前にちょっと読むと落ち着いて寝られるという人にはぴったりだと思います。表紙もかわいいですね。
しかし、著者プロフィールに大体「小者のセコさがよく描けている」という選評がついてデビューしたことが触れてあるのだけど、これは蒼井氏ご自身も結構気に入ってる評ということなのかしら(笑。ええ、全くその通りです。あと特徴は、バーが舞台になることが多いこと。お酒お好きなのかな。高田崇史氏のように酒の名前が色々出て来るわけではなく、あくまで客の側からの視点です。つまり、酔っぱらいの描写も上手い(笑
2007.04.11 皇帝のかぎ煙草入れ <<00:48
![]() | 「皇帝のかぎ煙草入れ」(ディクスン・カー) イヴ・ニールは初めの結婚に失敗し、揉めながらも離婚する。その後向かいに住むトビイ・ロウズとの婚約が決まるが、ある深夜、先夫でイヴに未練のあるネッド・アトウッドが寝室に忍び込んできて喧嘩になる。ロウズ家に騒ぎを知られたくないイヴを脅かそうと、ネッドが窓からロウズ家に叫ぼうとすると、ロウズ家の家長の書斎に家長と茶色の手袋をした誰かが見えた。 その後イヴはなんとかネッドを追い返すが、次の朝、ロウズ家の家長が書斎で頭をめった打ちにして殺されているという報せが入る。イヴが疑われ、恥を忍んでネッドを証人にしようとするが、ネッドはイヴの家から帰る際頭を強く打っていて、現在意識不明だと言う。イヴの身の潔白と無罪を証明する術は断たれてしまったのだろうか? カーは密室ものの代表的な作家と聞くし、『皇帝の〜』はカーの作品の中でもよく目にするタイトルなので密室ものかと思っていましたが、これはちょっと違うのかな。少なくとも物理的な密室ではありませんでした。探偵役が犯罪心理学の第一人者であることもあり、事件の操作は心理的な噛み合わせの齟齬を解きほぐしながら進みます。 「ロジックよりもトリック、トリックよりもプロット」というスローガンを掲げる二階堂黎人氏が、大前提としてカーマニアである、ということに納得しました。 構成もトリックもシンプルだけど、キャラクターの配置が見事で、冒頭のイヴとネッドの痴話喧嘩さえ緊張感でハラハラして、寝物語に読み始めたはずなのについ切りの良いところまで読み進めてしまいました。この緊張感で物語そのものを読ませるし、織り込まれた伏線の目くらましにもなっている。解決編の舞台設定もそうですが、演出の非常に上手い作家だと思います。 |
2007.03.06 冬のオペラ(北村薫) <<00:52
![]() | 冬のオペラ(北村薫) 北村薫の書く女の子ってほんと芯がしっかりしてて、良い子だなーと思う。これくらいきちんと話の出来る大人になりたいです。あと、会話文の日本語が美しい、というか、あるべき正しい日本語、という感じ。特別美文ではないけど、敢えてそうしてるのかなとも思う。語彙や表現の豊富さではなくて、筋が通っていること・無駄が無いこと・品の良さで空気感の美しさを書く(書ける)作家なんだなと思いました。 ところで、円紫師匠シリーズを読み切ってない気がしてきた。 |
2007.01.23 バイバイ、エンジェル <<22:50
バイバイ、エンジェル(笠井潔)
作家としても評論家としても、現代国内ミステリを語る上では外せない笠井潔の、デビュー作です。今は評論活動の方が活発でいらっしゃるんでしょうか、私は作家としてよりまず評論家としてお名前を知りました。
舞台はフランス。なのに、横溝正史作品かって言う人間関係の複雑さ(笑。消息不明になって久しい人物からと思われる脅迫状が届き、関係者の中に動揺が広がる中、主人公の友人の叔母(遠い)が殺害され、首なし死体で発見されます。雑然としているようで矛盾の多い現場、関係者の殆どに動機があり、脅迫状の主らしき不審者が度々目撃されます。警察は関係者達の調査、監視を続けますが、誰も彼もが非協力的で身勝手な動きをし、状況は混乱し通し。そして第二の殺人が起こります。
元々探偵小説の好きだった主人公のナディアは、大学で知り合った日本人の矢吹駆に議論を吹っかけ、それがきっかけで二人は推理競争をすることになります。とはいえ、カケルは終始沈鬱(これが常態)で事件の解決にもあまり興味を示さず、ナディアばかり暴走していますが。
ポイントは現象学、革命感、探偵システムへの評論。でもこの辺は新本格系をよく読む人なら一度くらい触れたであろう内容なので割愛。カケルの現象学講座などの長広舌には時々うんざりしたり眠くなったりしましたが、きっと現代国内本格ではこういうのはもう諦めて仲良くなるしかないんだろう。(正直、楽しく読んでるところで本文に“本格は既に死んでるんだ”とか出て来たら、実作者が水差してんじゃねえEEEE!!!て思いますけど)
この本の読み方には二通りあると思います。首なし死体や細工できる時間の無かったはずの爆弾、アリバイ、入れ替わりなど、いかにも本格ミステリ!な面に乗っかるか、作家の命題であるところの「テロルの限界」についての言及に乗るか。
私は後者に乗っちゃったようで、カケルや作家のやたらくどい言い回しに体力削られた口です(笑。カケルもナディアも人間的な魅力は薄いし…ミステリだからいいんだろうけど、探偵が静かな人だとテンション上がらない質らしい。カケルには髪も切って欲しい(ただの好み
なるほどこれが笠井潔かーと思ったのは、トリック・動機・犯人の行動に徹底して理論付け、根拠付けが行なわれていること。それをやりすぎてくどくなってるところもあるんだけど、“なぜ探偵役が犯人を指摘できるのか”に始まり、首の切られた理由、現場の矛盾点の発生、などには第一・第二の事件を一貫する背景と物的証拠が揃えられています。
この辺の作り込みには、綿密さというよりは執拗さを感じます。物的証拠主義の新本格と違うのは、読者を説得しようとするウェットな熱意があること。新本格の作家は割とドライにパズルに徹していますけど、笠井潔/島田荘司あたりの年代は“世界構築”にも重点を置いているように見えます。
しかし、笠井潔といい御手洗潔といい粟津潔といい、潔って名前が付くと理屈っぽく育つんだろうか(笑
2007.01.14 黄色い下宿人(「奇想小説集」収録)/山田風太郎 <<00:48
久しぶりのレビュー! 今日ご紹介する短編集は、収録される全てがミステリというわけではありません。でも、私が最も気に入った作品がミステリだったので、特にその短編について書きます。
![]() | 「奇想小説集」(山田風太郎) 山田風太郎の初期短編集、全9編収録。 この中で気に入ったのは、なんと言っても「黄色い下宿人」です。初出は1953年だそうですから、もう50年以上も前の作品。で、ホームズ・パスティーシュであり、島田荘司ファンには懐かしの(お馴染みの?)夏目漱石とホームズの共演!しかもしっかりミステリ!になっています。にこにこ。 1901年の5月上旬、ホームズへホーマー街のクレイグ博士から事件の以来の手紙が届きます。博士の隣に住む大富豪が、下男を連れて出かけた先の埠頭(心理的密室)から姿を消してしまい、それきり行方不明になっているとのこと。 ホームズとワトスンが博士を尋ねて行くと、部屋には東洋人の先客が居り、「ジュージューブ(棗)氏」と紹介されます。挙動が不審で実行の機会もあった棗氏、腹黒そうな下男、棗氏の隣に部屋を借りていて夜にしか帰ってこないギブスン氏など、怪しげで勘ぐり甲斐のある(笑)登場人物達。どんでん返しも一度では終わりません。 文章の雰囲気も、ごく自然にドイルの原作の様子が出ていて素晴らしいです。これはおすすめ。 |
他には、「退職刑事 3」(都筑道夫)、「ベトナム観光公社」(筒井康隆)を読了、今は「99%の誘拐」(岡嶋二人)を読んでいます。
筒井康隆は、天才だ!と言ってる友人がいるのと、「有栖の乱読」(有栖川有栖)でめっちゃ笑える本として紹介されていたので期待して読んだのですが、そう面白いとは思いませんでした。もっと最近の本探してみます。パロディだと原作を知らないと掠りもしないから辛い。でも筒井康隆―町田康―舞城王太郎と言われるのは何となく分かった。


